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トピックス/コラム詳細
- 2023年03月01日
- コラム
弁護士:久保井 聡明
久保井L⇔O通信23.2.6-2.28(大阪弁護士会の人権賞に中国帰国者センター、人権DDセミナー、チャットGTPの衝撃、ラジオ出演1回目・中国残留日本人孤児、フリーランス保護法案、ラジオ出演2回目)
243. 【大阪弁護士会の人権賞に中国帰国者センター】23.2.6
さて、大阪弁護士会は、2001年度から、毎年、子ども、高齢者、障がい者、女性、外国人、被拘禁者、犯罪被害者、消費者問題、公害・環境問題等の様々な分野で人権擁護活動を行っている近畿地区に本拠のある個人や団体に「人権賞」を授賞しています。下記が大阪弁護士会の人権賞を紹介するページです。
https://www.osakaben.or.jp/05_menu/01_jinkensyou/index.php
(2)その人権賞の今年度(2022年度)の受賞団体に、私も推薦人の1人に名を連ねた、一般社団法人大阪中国帰国者センターが選ばれ、2月4日(土)、大阪弁護士会館で受賞式がありました。下記に受賞団体の紹介が掲載されています。
https://www.osakaben.or.jp/festa/humanrights/
(3)上記(2)に掲載された授賞理由は次のとおりです。
「一般社団法人大阪中国帰国者センターは、中国残留邦人一世と二世の当事者が相談員や通訳をはじめ幅広く、きめ細かな支援活動に携わり、まさに当事者主体の自助的人権活動を長年続けて来られた団体です。高齢化により介護の必要性が増した一世には「尊厳をもって最後を迎えて欲しい」と心を込めた支援を提供し、増加した三世の若年層のニーズにも対応を心掛けておられます。国策によって入植したあげく、敗走する日本軍に遺棄されて「残留」を余儀なくされた多数の日本人の味わった苦難という歴史的事実と「帰国後」も続いた苦境に対する社会的関心が薄れていることから、日中国交正常化50周年に合わせて授賞することによる社会的なインパクトと啓発効果を期待して推薦しました。」
(4)私は2003年から2008年まで、中国残留日本人孤児国家賠償請求訴訟の大阪弁護団の事務局長を務めていた縁で大阪中国帰国者センターのみなさんとつながりができ、現在も活動を一緒にさせて頂いています。現在、センターは、中国残留日本人孤児二世のみなさんが活動の中心を担っておられます。昨今、ロシアのウクライナ侵攻や、東アジア地域の安全保障問題が大きくクローズアップされていますが、このような時期だからこそ、もう一度、戦争というものの恐ろしさ、悲惨さ、特に一番立場の弱い幼い子ども達に最も大きな影響を与えることを、残留日本人孤児のみなさんの経験を通じて、社会に少しでも知ってもらえれば、と思います。私も微力ながら、そのお手伝いができれば、と思っています。
244. 【人権DDセミナー】23.2.13
さて、私も会員になっています日本CSR普及協会近畿支部が、来る3月3日(金)午後3時から、「ビジネスと人権」をテーマにしたセミナーを開催します。下記のHPからお申し込み可能ですので、是非、よろしくお願いします。
https://www.jcsr-kinki.jp/seminar.html
(2)このbcc通信225(2022.9.26配信)、229(2022.10.17配信)でも取上げましたように、日本政府は、2022年9月、企業における人権尊重の取組を後押しするため、「責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドライン」を公表しています。今回は、このなかでも、人権デュー・ディリジェンスに焦点を当てて、同分野に精通する弁護士が基調講演し、実際に中小企業で行われている試行についても紹介されると聞いています。これからの企業活動にとって必須なテーマと思い、ご紹介する次第です。
245. 【チャットGTPの衝撃】23.2.20
さて、日経新聞(2023.2.17)に、「人工知能(AI)の進化が新たな段階に入った。米新興オープンAIが開発した「ChatGPT(チャットGPT)」は質問に巧みに回答する高度な対話能力を備え、世界に衝撃を与えた。」という記事が掲載されていました。この記事に限らず、このところ、チャットGPTが大きな話題になっています。
(2)「百聞は一見に如かず」、ということで、私もこのチャットGPTの無料アカウント登録をして試してみました。いやはや、正直、かなり驚きました。質問に対する回答は、(問題によるとは思いますが)相当高度で、日本語もきっちりしています。何より、その回答内容をもう少し深く知りたいということで、追加質問をすると、その回答が表示され、さらに再追加質問をし…ということを繰り返していると、本当に人間同士がチャットを使って会話や議論をしている感じになります。
(3)試しに法律相談的なことを入れてみたところ、「一般的に」という前書きの後、結構、それらしい内容の回答がズラズラっと出てきて、最後に、法律問題については最寄りの法律相談センターなどで専門家にご相談下さい、と出ました(ただ、借金の消滅時効の質問でしたが、法律的に誤りがいくつか含まれていました)。
(4)ご存じのように、弁護士法72条は、弁護士や弁護士法人以外の者が、法律相談など法律事務を有償でとして行うことは禁止していますので、現在の弁護士法を前提とすると、株式会社などがこのチャットGPTを使って有料で法律相談を受け付けることは違法となる可能性が高いと思われます。このため、弁護士ドットコムも、まずは無償でチャットGPTを使った相談を実施することを検討しているようですが、今後、更にこの性能が向上して、生身の弁護士よりも早く正確に法律相談が出来るようになってきたら、AIは疲れ知らずだし。。。。なかなか大変な時代がやってきたように感じます。
246. 【ラジオ出演1回目・中国残留日本人孤児】23.2.21
さて、bcc通信243(2023.2.6配信)でご紹介した大阪中国帰国者センターの人権賞受賞について、同センターの残留日本人孤児2世の支援相談員の方と一緒に、MBSラジオに出演してきました。今回が1回目、来週に2回目の予定です。下記のサイトのYoutubeから是非聴いてみて下さい!(下記のURLから入って第99回です)
https://www.mbs1179.com/ben/
247. 【フリーランス保護法案】23.2.27
さて、日経新聞(2023.2.24)など新聞各紙で、政府が組織に属さず働くフリーランスの保護を強める新たな法律案を閣議決定したことが報じられています。
「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」というもののようです。法案の概要などは、下記のページの「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律案」のところをみて下さい。
https://www.cas.go.jp/jp/houan/211.html
(2)現在の下請法の対象は、親事業者の方は資本金1000万円超というのが要件で、1000万円以下の場合には対象になりませんでした(下記の公正取引委員会のHP参照)
https://www.jftc.go.jp/shitauke/shitaukegaiyo/gaiyo.html
(3)そこで、今回の法律案では、対象となる当事者・取引の定義について、次のように定めているようです。(内容は、上記(2)のHPの「概要」によります。⇒は筆者注)
①保護の対象となる「特定受託事業者」とは、業務委託の相手方である事業者であって従業員を使用しないものをいう。
⇒従業員を使用しない個人とし事業をしているフリーランスが念頭に置かれています。
②「業務委託」とは、事業者がその事業のために他の事業者に物品の製造、情報成果物の作成又は役務の提供を委託することをいう。
⇒下請法と同じように業務委託は広く対象とされています。
③「特定業務委託事業者」とは、特定受託事業者に業務委託をする事業者であって、従業員を使用するものをいう。
⇒下請法と違って、フリーランスに委託する事業者側は従業員を使用していれば資本金の要件がありません。
※ 「従業員」には、短時間・短期間等の一時的に雇用される者は含まない。
(4)そのうえで、今回の法律案では、フリーランスに係る取引の適正化として次のようなことを定めています。⇒基本的な建付けは下請法と同様のようです。
①特定受託事業者に対し業務委託をした場合は、特定受託事業者の給付の内容、報酬の額等を書面又は電磁的方法により明示しなければならないものとする。
※ 従業員を使用していない事業者が特定受託事業者に対し業務委託を行うときについても同様とする。
②特定受託事業者の給付を受領した日から60日以内の報酬支払期日を設定し、支払わなければならないものとする。(再委託の場合には、発注元から支払いを受ける期日から30日以内)
③特定受託事業者との業務委託(政令で定める期間以上のもの)に関し、次のⅰ)〜ⅴ)の行為をしてはならないものとし、ⅵ)・ⅶ)の行為によって特定受託事業者の利益を不当に害してはならないものとする。
ⅰ) 特定受託事業者の責めに帰すべき事由なく受領を拒否すること
ⅱ) 特定受託事業者の責めに帰すべき事由なく報酬を減額すること
ⅲ)特定受託事業者の責めに帰すべき事由なく返品を行うこと
ⅳ)通常相場に比べ著しく低い報酬の額を不当に定めること
ⅴ)正当な理由なく自己の指定する物の購入・役務の利用を強制すること
ⅵ)自己のために金銭、役務その他の経済上の利益を提供させること
ⅶ)特定受託事業者の責めに帰すべき事由なく内容を変更させ、又はやり直させること
(5)さらに、フリーランスで働く方の就業環境の整備として、①フリーランス募集広告の際に正確かつ最新の内容としなければならないこと、②フリーランスの方が育児介護等と両立して継続的に業務を行えるよう、申出に応じて必要な配慮をしなければならないこと、③様々なところで問題となっているフリーランスの方へのハラスメント行為に係る相談対応等必要な体制整備等の措置を講じなければならないものとすること、④継続的業務委託を中途解除する場合等には、原則として、中途解除日等の30日前までに予告しなければならないものとすること、なども定められています。
(6)実効性確保の措置としては、公正取引委員会、中小企業庁長官又は厚生労働大臣は、特定業務委託事業者等に対し、違反行為について助言、指導、報告徴収・立入検査、勧告、公表、命令をすることができ、 命令違反及び検査拒否等に対し、50万円以下の罰金に処すること(法人両罰規定あり)、とされています。
(7)働き方が多様化するなか、フリーランスで働きたいという方は今後も増えていく可能性があります。これまでフリーランスの方を、「便利使い」、してきた企業は意識改革が必要になりそうです。
248. 【ラジオ出演2回目】23.2.28
さて、先週お伝えしたラジオ放送の2回目です。私も関与していた国賠訴訟のことや、大阪で最初に敗訴したときのこと、新しい法律と故安倍元総理のことなど、残留孤児2世の長山さんと色々お話ししました。下記のHPです。是非お聴きください。(下記のURLから入って第100回です)
https://www.mbs1179.com/ben/