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トピックス/コラム詳細

2020年08月01日
コラム

弁護士:久保井 聡明

久保井L⇔O通信7.20-31(1.不動産重要事項説明,2.電子署名,3.リツイート,4.安楽死,5.マンション管理,6.同一労働同一賃金,7.新型コロナ,8.個人情報保護委員会)

1.      【水害も重要事項説明書に】20.7.20配信

記念すべき第1回の通信です。今年も含め毎年のように大水害が起こっています。すでに土砂災害や津波は重要事項説明書の対象だったようですが,水害も入ることになったようです。下記,国交省のHPです。

https://www.mlit.go.jp/report/press/totikensangyo16_hh_000205.html

 

2.      【電子署名なくても有効】20.7.21配信

テレワーク中に困ったことに契約書の押印がありました。この点,「政府は電子署名に関する見解を公表し、電子的な印鑑証明にあたる電子証明書のない電子署名も法的に有効だと認め」ました。一歩前進,となりそうです。下記,日経の見出しと各省共同のQAです。

【総務省・法務省・経産省のQA】

http://www.moj.go.jp/MINJI/denshishomeihou.html

 

3.      【リツイートにもご用心!最高裁判決】20.7.22配信

今朝の新聞各紙で大きく取り上げられていましたが,最高裁の第3小法廷は,「ツイッターでリツイート(転載)された画像の一部が自動的に切り取られる設定を巡る訴訟の上告審判決で、著作者の氏名を表示する権利を侵害した」,との判断を示しました。下記,最高裁のHPです。(ページにある「全文」のpdfをクリックすると判決全部が出ます。)ちょっと技術的な法律論で難しいところがありますが,6頁~の補足意見や,8頁~の反対意見をざっと見ると対立的が分かり易く感じます。

【最高裁HP】

https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=89597

 

4.      【安楽死】20.7.27配信

今日は企業法務とは縁遠い話題です。安楽死が話題になっています。法律的には,嘱託殺人罪(刑法202条)が問題となります。下記のとおり,法定刑が普通の殺人罪(199条)とはずいぶん違っています。また,一部の新聞では照会されていた安楽死について正面から論じた横浜地裁の判決例(川崎病院事件)の抜粋を添付します。なかなか考えさせられる内容です。【刑法】(殺人)第百九十九条 人を殺した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の懲役に処する。(自殺関与及び同意殺人)第二百二条 人を教唆し若しくは幇助して自殺させ、又は人をその嘱託を受け若しくはその承諾を得て殺した者は、六月以上七年以下の懲役又は禁錮に処する。

5.      【マンション管理お墨付き】20.7.28配信

最近,マンションの老朽化が色々問題になっています。昨日の日経新聞の夕刊に,「マンション管理にお墨付き」という記事がありました。この点に関連して,今年の6月の国会で「マンション管理適正化法」の改正等が成立しています。将来的には自治体が,マンション毎の管理状況について評価してお墨付きを与える時代が来そうです。

【マンション管理適正化法等の改正概要・国交省HPから】

https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001350444.pdf

 

6.      【非正規格差・同一労働同一賃金・最高裁9月弁論】20.7.29配信

いつも大変お世話になっております。(今日はちょっと長く,俳句,ではなくなってしまいました)

【同一労働同一賃金】

(1)さて,正規労働者と非正規労働者のいわゆる「同一労働同一賃金の原則」は,大企業では今年の4月から施行されています(中小企業でも来年4月から施行)。施行に向けて色々準備をされた方も多いと思いますが,肝心のどのような場合に,どのような手当に,どの程度の差があれば,「同一労働同一賃金」に反するのか,必ずしも明確でないところがある,と言われていました。

 (2)このため,最高裁判所が判例を統一することが望まれていました。この点,昨日の日経新聞等によると,最高裁判所が9月に弁論を開くことになった,ということです。弁論を開くことになった各事件の注目点は下記のとおりです。★最高裁で弁論が開かれれば,そんなに期間を置かずに判決が下されますので,労務管理担当者にとっても大注目,になりそうです。

 【各裁判の注目点】

各高等裁判所の判決で特に注目される点は次のとおりでした。

 ①メトロコマース事件…退職金の一部について不支給は違反

東京メトロ駅構内の売店で販売業務に従事していた有期雇用労働者について,「正社員の基準で計算した退職金のうち,功労報償的部分に相当する部分(4分の1)を支払わないことは労働契約法20条に違反する」としました。労働者側からは画期的と評され,使用者側には波紋を呼んでいます。

 

②大阪医科薬科大事件…賞与の一部について不支給は違反

大学の教室事務員として従事していた有期雇用労働者について,①のメトロコマース事件でも認められていない「賞与について,功労報償的部分(正社員の60%)を支払わないことを違法」としたものです。労働者側からは画期的と評されています。

 

③日本郵便事件…各地の高裁で判断が分かれている

住居手当・扶養手当等について,複数の裁判が提起され,高裁レベルの判決で結論が分かれています。このため,最高裁が統一的見解を示す見通し,になりました。

 
7.      【大阪府の5人以上の会食自粛要請】20.7.30配信

新型コロナウイルスの感染拡大が止まりません。大阪府も昨日初めて200人を超えました。この点,大阪府の吉村知事は,8月1日~20日まで,5人以上の会食を自粛するように府民に「要請」しました(下記のURL)。このような「要請」をするには,法律上の根拠が必要です。それが,下記の法律です。ただ,この条文は「協力の要請」なのであくまでも「お願い」,であり,これに反しても「罰則」がありません。また,「お願い」なので「協力の要請」に従っても「補償」もありません。4月のように緊急事態宣言が出されれば,同じ法律の45条でもう少し強い措置が取れますが,そこにも「罰則」も「補償」の規定はなく,ただ従わなかった場合に「公表」されることになります。生活や経済活動の自由と公衆衛生上の措置の微妙なバランスをどうとるのか,今後さらに検討が必要のようです。

 【大阪府HPから】

http://www.pref.osaka.lg.jp/attach/38112/00000000/siryou3-1.pdf

 【新型インフルエンザ等対策特別措置法】 条文は下記のURL

(都道府県対策本部長の権限)

第24条9項

 都道府県対策本部長は、当該都道府県の区域に係る新型インフルエンザ等対策を的確かつ迅速に実施するため必要があると認めるときは、公私の団体又は個人に対し、その区域に係る新型インフルエンザ等対策の実施に関し必要な協力の要請をすることができる。

 https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=424AC0000000031

 

8.      【破産者サイトに個人情報保護委員会が停止命令】20.7.31配信

(1)個人情報保護法という法律はご存知と思います。同法では,個人情報取扱事業者は,①個人情報を取得した場合は,あらかじめその利用目的を公表している場合を除き,速やかに,その利用目的を,本人に通知し,又は公表しなければならない(18条1項),②個人情報をデータベース化したものを第三者に提供するにあたっては,あらかじめ本人に同意を得なければならない(23条1項),とされています。

(2)この点,対象となっている個人情報が,すでにインターネット上で誰でも見られる公開情報になっているような場合でも,(1)①②のルールが適用されるのでしょうか?

(3)この点が問題となったケースで,政府の個人情報保護委員会が7月29日,インターネット上の2サイトに対し運営停止命令を出しました(下記URL)。今回のケースは,インターネットの「官報」で公開された破産者の氏名・住所などをプログラムで自動収集し,一覧性のあるデータベースとして簡単に検索できるようにしてインターネット上で公表していた,ということのようで,実際にサイトの影響で「親族が就職できなくなった」という被害情報も多数寄せられていた,特殊なケースではあります。ただ,公開されてる情報だから,何でもOKではない,ということは注意が必要ですね。

【個人情報保護委員会HP】

https://www.ppc.go.jp/news/press/2020/200729kouhou/