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トピックス/コラム詳細
- 2016年03月31日
- コラム
弁護士:久保井 聡明
女性活躍推進法について
1. 昨年11月の報道によると、世界各国の男女平等の度合いを指数化した世界経済フォーラムの「ジェンダー・ギャップ指数」で、日本は調査対象145カ国中101位だった、とのことです。特に日本は女性の労働参加率が低いなど、経済分野で106位と低迷している、とのことでした。この点、昨年大きな話題となったコーポレートガバナンス・コード(C.Gコード)では、原則2-4「女性の活躍促進を含む社内の多様性の確保」において、「上場会社は、社内に異なる経験・技能・属性を反映した多様な視点や価値観が存在することは、会社の持続的な成長を確保する上での強みとなり得る、との認識に立ち、社内における女性の活躍促進を含む多様性の確保を推進すべきである」とされていますが、現実はまだまだ途上、という状況のようです。
2. ところで、女性が職業生活においてその希望に応じて十分に能力を発揮し、活躍できる環境を整備するため、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」が制定されました(通称、「女性活躍推進法」)。この法律により、平成28年4月1日から、301人以上の労働者を雇用する事業主は、<ステップ1>自社の女性の活躍状況を把握・課題分析、<ステップ2>行動計画の策定・届出、<ステップ3>情報公表、を行う必要があります(なお、300人以下の事業主は努力義務)。
3. 厚生労働省のHPによると、具体的な手順は次のとおりです。まず、<ステップ1>では、女性の活躍状況、具体的には、①採用者に占める女性比率、②勤続年数の男女差、③労働時間の状況、④管理職に占める女性比率について把握し、課題分析を行います。次の<ステップ2>では、<ステップ1>の結果を踏まえて、女性の活躍推進に向けた、①行動計画の策定、②都道府県労働局への届出、③労働者への周知、④外部への公表を行います。行動計画には、計画期間、数値目標、取組内容、取組の実施時期を盛り込む必要があります。そして、<ステップ3>では、優秀な人材の確保と企業の競争力向上につなげるため、自社の女性の活躍に関する情報を公表することになります。この点、厚生労働省は同省のHPにおいて、女性の活躍状況に関する情報を一元的に集約したデータベースを公表する予定であり、企業に対して<ステップ3>の情報公表先にこのデータベースの活用を呼び掛けています。これらの取組みを、PDCAサイクルで回すことにより、より女性が職業生活において活躍できる環境を整備しよう、という点に狙いがあります。
4. 私たちの久保井総合法律事務所は弁護士、事務局合わせても20名強の小さな所帯ですので、もちろんこの法律の強制的な適用はありませんが、弁護士のうち3名が女性、事務局は全員女性と、女性の多い職場です。また、松本智子弁護士が今年1月からパートナーに加入し、パートナー6名のうち2名が女性になりました。個人の依頼者には女性も多くいらっしゃいますし、最近では企業の依頼者の担当者にも女性が増えてきた印象があります。前記1で紹介したC.Gコードになぞらえて言うと、事務所内に異なる経験・技能・属性を反映した多様な視点や価値観が存在することが、事務所の持続的な成長や依頼者の皆さんとの継続的な信頼関係を確保する上で強みとなり得る、との認識に立ち、事務所内での女性の活躍促進を含む多様性を推進していきたい、と考えています。