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トピックス/コラム詳細

2020年11月02日
コラム

弁護士:久保井 聡明

久保井L⇔O通信20.9.23-9.30(生命保険契約照会制度,議決権行使効力発生時期,同一労働同一賃金最高裁統一判断,新型コロナと労災,オーナー商法と法改正)

44. 【生命保険契約照会制度の拡大】20.9.23
新聞各社の報道によると、9月18日、生命保険協会は、亡くなったり、認知機能が落ちたりした人の生命保険の加入先を家族が調べられる「契約照会制度」を、来年7月をめどに設ける、との発表を行った、とのことです。インターネットで協会へ問い合わせると、協会が家族に代わって加盟全42社に契約の有無を確認する、ということです。従来は災害時のみ使える制度だったのを、保険金を確実に支払えるように平時も使えるようにする、とのことです。高齢者社会がますます加速するなか、大変、有意義な制度と思います。

45. 【議決権行使の意思表示の効力は発生時期】20.9.24
新聞各紙の報道によると、三井住友信託銀行が、株主総会の集中する時期に、議決権行使書を通常の配達日より1日早い行使期限日の当日に郵便局から受取っていたにもかかわらず、翌日の配達として扱って集計から外していた、とのことです。この点、民法では意思表示の効力発生時期について、下記のとおり定めており、今回の扱いはこれに反していた、ということになりそうです。

(意思表示の効力発生時期等)
民法第九十七条 意思表示は、その通知が相手方に到達した時からその効力を生ずる。

46. 【同一労働同一賃金最高裁統一判断】20.9.25
今朝(9.25)の日経新聞朝刊によると、昨日(9.24)、日本郵便の契約社員が正社員との待遇格差は不合理だとして、同社に損害賠償を求めた訴訟の上告審で、最高裁第1小法廷(山口厚裁判長)が、双方の意見を聴く弁論を開き、ほか2件の同種訴訟と同じく10月15日に判決を言い渡し、統一判断を示す見通しとなった、ということです。
すでに9月16日のオンライン通信で配信したように、最高裁第3小法廷は、東京メトロ子会社「メトロコマース」の元契約社員と大阪医科薬科大の元アルバイト職員が、正職員には支給される賞与や退職金がないのは違法だとして待遇格差の是正を求めた2件の訴訟の判決をいずれも10月13日に言い渡すことになっています。

47. 【新型コロナウイルス労災認定状況】20.9.28
厚生労働省から「新型コロナウイルス感染症に関する労災請求件数等」が公表されています(下記、URL)。
https://www.mhlw.go.jp/content/000627234.pdf
なお,既に公表されている通達と認定事例は次のとおりです。特に認定事例は具体的で厚労省の考え方がより理解できるように思います。
https://www.mhlw.go.jp/content/000626126.pdf
https://www.mhlw.go.jp/content/000647877.pdf

48. 【オーナー商法と法改正】20.9.30
家庭用磁気商品の「オーナー(販売預託)商法」で多額の現金を集めた「ジャパンライフ」(東京、破産手続き中)について、警視庁と愛知など5県警の合同捜査本部が、元会長ら14人を詐欺容疑で逮捕したことが大きなニュースになっています。債務超過の事実を隠して営業し、延べ約1万人から2100億円を集めた、とのことです。
この点、オーナー(販売預託)商法については、「特定商品等の預託等取引契約に関する法律」(下記、消費者庁のURL)で規制されていますが、過去に繰り返し大型消費者被害事件が発生しました。
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_transaction/contract_for_deposit/

そこで、販売預託商法を原則的に禁止する法改正が検討されています。下記のURLは、消費者庁に設置された、「特定商取引法及び預託法の制度の在り方に関する検討委員会」の報告書です(20.8.19付)。報告書では、「販売を伴う預託等取引契約については、本質的に反社会的な性質を有し、行為それ自体が無価値(反価値、“Unwert”)であると捉えるのが相当であることから、預託法において、原則禁止とすべきである。」と、かなり強い調子で結論づけられています。

https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_transaction/meeting_materials/assets/consumer_transaction_cms202_200819_03.pdf